【ばんえい競馬】雑種強勢における血統考察
ばんえい競馬においては、雑種強勢という考えから、強い馬を作るというのが一般的です。
血統・種雄馬にも書いていますが、「ブルトン種、ペルシュロン種、ベルジアン種の3種を掛け合わせることにより、それぞれの特徴を持った雑種を生産し、より強い馬を作る」という考えに基づいています。
一方、近交退化というキーワードがあります。本来は近親同士の交配が続くと、種として弱くなるということを指しています。
ばんえい競馬では、雑種が進みすぎて、ある一定のところから弱くなる(奇形なども出てくる)というように理解しています。
参考文献:岡山大学の論文と弘前大学のサイト(※1)
雑種強勢は何代先まで有効なのか
サラブレッドでいうところのインブリードが濃いと危険(2×3とか)という考え方は、ばん馬にも当てはまると思われます。
岡山大学の論文では、兄妹の近交における実験結果が掲載されているため、そのまま参考にすることはできませんが、インブリードが進むことにより、種として弱くなる傾向があることはわかります。
雑種強勢により、体が強く、力も強い種が生まれる一方、ある時点で、雑種強勢の効果が切れ、逆効果になることがあるということです。
弘前大学のサイトから、雑種強勢は第1世代が最も効果があり、第2世代、第3世代と雑種化が進むと急速に減少・消滅することがわかります。
私は、父・母の血統を3世代前までさかのぼって、雑種同士の組み合わせしかない場合、その産駒は雑種強勢の恩恵を受けることができないと仮定しています。
2022年新馬では「戻し交雑」に期待
2022年シーズンが4月下旬より開始されますが、同時に新馬の能力検査も始まります。
能力検査を見るにあたり、今年のテーマとして、「戻し交雑」に注目して見ていこうと考えています。
戻し交雑種とは,A品種(系統)とB品種(系統)の交雑によって得られた F1に,両親のA,B品種(系統)いずれか一方の品種(系統)を交雑して得られた子である[F1(A×B)×A,F1(A×B)×B]。
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/lab/3/animsci/text_id/Animal%20Breeding_14.html
「戻し交雑」は、父か母が純血種で、もう一方が雑種化している場合に見られる現象になりますので、わかり易い例として、父が純血種で母が雑種化している産駒を探しました。
一番調べやすかったのが、「ばんえい牧場十勝」の純ペルシュロン種:ファルコの産駒でしたので、2020年生まれのファルコ産駒で、血統表を総ざらいにしました。
父が純ペルシュロン種ですので、母はブルトン種かベルジアン種が多めに配合されている血統で、雑種化している方が良いと考えています。
3頭ピックアップしましたので、それぞれ見ていきたいと思います。(能力検査に出るかどうかは不明です)
優姫二十 母:優姫
父:ファルコ、母:優姫、母の父:キタノイチオク、2020年5月2日生まれの産駒です。
母の血統は、かなりブルトン種が濃いので、「戻し交雑」の効果もありますが、そもそも、ペルシュロン種とブルトン種の雑種化の初段階に近い効果が得られないかなと考えています。
曳登二十 母:ジェイエイト
父:ファルコ、母:ジェイエイト、母の父:ニシキダイジン、2020年3月29日生まれの産駒です。
母の血統は、ブルトン種・ベルジアン種が程良く配合されています。「戻し交雑」の効果も強いと思われます。
特に、母の父のニシキダイジンがベルジアン種強めの雑種なので、ファルコと相性が良いのではないでしょうか。
初仔でもありますので、非常に期待しています。
光醍二十 母:コウシュハダイアナ
父:ファルコ、母:コウシュハダイアナ、母の父:ニシキダイジン、2020年3月17日生まれの産駒です。
曳登二十同様に、母の血統はバランス良く雑種化が進んでいると思われます。
同じく、母の父はニシキダイジンです。
ニシキダイジンは、父としても活躍馬を排出していますが、母の父としても活躍するのではないかと感じています。
参考文献(※1)
岡山大学の論文:近交退化と雑種強勢に関する実験的解析
弘前大学のサイト:14.雑種強勢の利用
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