【ばんえい競馬】もう一度考える、地方共有クラブはばんえい競馬で成り立つのか
最近、お問い合わせフォームから、5%共有の問い合わせを頂きます。
そのアンサーとして、現時点では、皆が納得する価格とサービスの提供は難しいことを説明させていただきます。
以前、【ばんえい競馬】地方共有クラブは、ばんえい競馬で成り立つのかという記事を書きました。
当時から2年経ち、生産牧場さんとのやり取りやばんえい競馬での経験、サラブレット共有クラブや個人共有での知見を元に、もう一度考えてみようと思います。
前回は、クラブとして成り立つ=一定の事業収入を得ることができるのか(事業計画が成り立つのか)で考えました。
結果は、「成り立たない」でした。(そりゃボッタクればできますけど・・・)
視点を「経費だけは確保し、いくらで馬を募集できれば、価格相応の納得の行くサービスを提供できるのか」に変えて、再考してみます。
結論
細かい計算は載せません。興味のある方は別途聞いてください。
・募集する馬代金は、350万まで
・手数料は収入の5%のみ、ただし、能力検査不合格時は手数料なし
(それ以上の手数料を貰っても、代価に見合うサービス提供は難しい)
上記条件であれば、5%共有あたりのマイナスを総額15万までに抑えることができる可能性が高く、
私も共有メンバも、同じ馬主として収支の大きな差もなく、納得がいく運用ができると考えています。
収支の計算内容
サラブレッドの共有を行うときに、「どれぐらいのマイナスまでなら」、心を切り替えて、次にチャレンジしようと思えるかを考えてみました。
私であれば、競走馬である以上、マイナスは仕方ないけど、5%共有で15万までかなぁ・・・という感覚を持っています。
最悪のケースでMAXマイナス15万で抑えるには、馬代金はいくらまで許容できるのか、
そして、どのような手数料をとれば、経費を賄えるのかを計算した結果です。
ケース | 5%当たり収支 | 馬代金 | 能力検査全頭に占める割合 | |
1 | 能力検査不合格、引退 | ー15万 | 350万 | 30% |
2 | (以下、能力検査合格)2年間出走、成績が平均よりも下 | ー5万~ー10万 | 300万~400万 | 30% |
3 | 3年間出走、成績が平均よりも少し上 | ±0 | 350万 | 25% |
4 | 3年間出走、成績が上位15位~50位ぐらい | ~+20万程度 | 350万 | 10% |
5 | 3年間出走、成績が10番目~15番目付近(重賞未勝利) | +20万以上 (青天井) | 350万 | 5% |
ばんえい競馬での最悪のケースとは、能力検査に不合格、即引退です。馬代金と経費のすべてがマイナス計上となります。
サラブレットだと、育成中に骨折、即引退でしょうか。
最悪のケースが30%で起こり、マイナス~プラスマイナスの間が55%程度で起こり、プラス圏が15%(うち大幅プラスが5%)
5%共有なら、マイナス15万が30%、プラスマイナスゼロまでが55%、プラスが15%という感じです。
4と5のケースは、5歳以降も当分現役を続けると思いますので、プラスはもっと多くなります。
能力検査さえ合格すれば、数年の競争生活を楽しんで、どんな成績であれ、笑顔で終えられるのはここまでかなと考えています。
手数料は収入の5%のみとしてます。
引退時の売却代金に対しても、5%の手数料としています。
最悪のケース(能力検査不合格)では、引退時の売却代金のみでしか、収支を安定させることができず、ここに手数料を取ることは想定していません。
経費
経費に関しては、皮算用なので、実際やりだしたらマイナスになるかもしれませんが、
馬探し+能力検査時の訪問+年1回の撮影訪問を実費計算。
銀行振込手数料とホームページ運営を含めて、1頭の生涯で50万ぐらいあれば、なんとかなるだろうと計算しています。
人件費は無視です。
人件費を計算し、経費化すると、ばんえい競馬でクラブなんてやらないほうがマシです。
賞金などと比較して、共有者への負担が大きすぎます。
これ以上削減するには、帯広に住むしか無いなぁ・・・と思います。
そもそも事務手数料って何するの?
ばんえい競馬は、正直なところ代表馬主にできることは少なく、調教タイムがあるわけでもなく、レース選びができるわけでもありません。
前述の経費以外に毎月の作業って、収支計算と調教師とのレース後のやり取りぐらいです。
収入の5%を手数料で貰えれば、大体一人あたり月400円~500円ぐらい貰っていることになるので、十分と考えています。
サラブレッドだと、競馬場選択、レース選択、色々な関係者との調整など、なかなか厳しいと思いますが、馬の値段も賞金も違いますからね・・・
これ以上の手数料を設定するのであれば、毎月動画ぐらいは出さないと厳しいだろうと思います。
募集価格350万は、実際可能なのか?
馬代金350万で募集ということは、約300万で買ってこなければいけないということになります。
毎年のように相場が上がっている現状、去年の相場でギリギリ、今年は難しく、来年はもっと難しいでしょう。
もちろん、能力検査を不合格にするわけには行かないので、それなりの馬を探すとなると、購入代金も上がります。
今、手数料なし+実費計算でやっていけているのは、経費無視+10%共有としていることが大きいです。
せめて、運営費をマイナス収支にしないためには、安定的に300万以下で馬を仕入れるルートを確立する必要があります。
今年は無理です。
しかし、来年、再来年は可能になるように、一生懸命努力していきたいと思います。
当面は、手数料なし+実費計算の10%共有で進めさせて下さい。よろしくお願いします。
牧場主体のクラブこそ、ばんえい競馬にはふさわしい
前回も同じような結論になりましたが、ばんえいの生産牧場が主体となって、地方共有のクラブを行ってほしいという想いは変わりません。
ばんえい競馬では、より生産という現場に寄り添ったクラブが有って欲しいと思います。
特に、生産数の減少に歯止めをかけるためにも、地方共有よりも一口馬主クラブの登場が待たれます。
ぜひとも、生産牧場の皆様にはご一考頂きたいです。検討の際には私も呼んでください(笑)
参考資料
【ばんえい競馬】 馬主は儲かるのか(収支シミュレーション)←データは古いです
管理人
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地方馬主が増えている中、まったくばんえい競馬が話題にならないことが悔しくて、サイトを運営開始。
2022年、ジェイジャックのオーナーとなりました。
ばんえい競馬を愛する人が一人でも増えるように地道に活動中。
ばんえい競馬はいいぞ。ばんえい競馬はいいぞ。ばんえい競馬はいいぞ。
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