【ばんえい競馬】地方共有クラブは、ばんえい競馬で成り立つのか
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地方馬主がどんどん増えている昨今、地方馬主の共有クラブも盛況です。
去年から今年にかけて、たくさんの共有クラブが誕生しました。
基本的に、地方共有クラブでは南関競馬(大井・浦和・川崎・船橋)に所属する馬が多くなっています。
現在、ばんえい競馬の地方共有クラブは存在しません。
そこで、ばんえい競馬での地方共有クラブは成り立つのかどうかを検証してみました。
結論
・ばんえい競馬の賞金体系で、地方共有クラブを経営するのは厳しい
・地方共有クラブ自体、賞金に収入の大部分を依存し、頭数を増やすことでしか収益を増やすことができない
・頭数の限界=事業規模の限界になるため、クラブ経営のみで事業を成り立たせるのは非常に困難
・地方共有クラブの経営では、馬代金の上乗せよりも、応募率(共有者数)を上げることが最優先
目次
ばんえい競馬共有クラブの基本方針
・できる限り、募集価格は安くする
・初年度赤字は許容し、5年間で累計収支をプラスにする
・事務手数料は、他のクラブに習い、5%とする
ばんえい競馬での諸経費は、収入(賞金・手当)と支出(預託料)を参考に、以下の通りとする。
・馬の仕入れ値は200万円固定(現相場での最安値)
・入厩までの牧場代は8万(9ヶ月)
・厩舎の預託料は月額13万
・治療費などは月額3.5万
収入に関するデータは、40頭程度を所有されている馬主様の平均値をお借りしました。
ただし、賞金に関しては、低く見積もっています(怪我なども考えられるため)
・年間出走回数は23回
・年間獲得賞金は手取り40万
以上の条件で、いくつかのシミュレーションをしてみました。
ばんえい競馬共有クラブ 収支シミュレーション
いくつかのパターンに沿って、収支をシミュレーションし、事業が成り立つかどうかを考えてみます。
事業上は、馬代金は減価償却されますが、今回は考えず、実際の金銭のやり取りで考えます。
パターンとしては、以下の通りとします。
・仕入れ価格にいくら上乗せするか、上乗せなし、30%上乗せ、50%上乗せを想定
・募集に対し、50%応募あり、90%応募ありで想定
年間1頭ずつ、仕入れ価格=募集価格 50%応募
最初に、年間1頭ずつ募集し、仕入れ価格=募集価格とした場合です。募集に対し、50%の応募があったとします。
YGGオーナーズクラブと同じ形式です。
見ていただくと分かる通り、赤字が続きます。累積赤字がずっと増えていくことになります。
YGGオーナーズクラブは、一口馬主のクラブが主であることから、地方共有に関しては、ほぼサービスのような形で運営していただいていることがわかります。
年間1頭ずつ、仕入れ価格の30%上乗せ=募集価格 50%応募
仕入れ価格=募集価格では事業が成り立たないため、募集価格を仕入れ価格から30%ほど上乗せします。
仕入れ200万に対し、募集価格300万とし、50%の応募があった場合です。
残念ながら、累積赤字が増えていくだけです。
年間1頭ずつ、仕入れ価格の50%上乗せ=募集価格 50%応募
募集価格を仕入れ価格から50%ほど上乗せします。
仕入れ200万に対し、募集価格400万とし、50%の応募があった場合です。
赤字ではありますが、賞金が少し増えれば、なんとかプラスマイナス0になる計算です。
ただし、事業としては成り立っていません。
年間1頭ずつ、仕入れ価格の30%上乗せ=募集価格 90%応募
募集価格を仕入れ価格から30%ほど上乗せし、仕入れ200万に対し、募集価格300万とし、90%の応募があった場合です。
各共有クラブが、それぞれのコンセプトを打ち出し、人気のある種牡馬などを選んでいるのは、応募が埋まらないと採算が合わないというところが大きいということがわかります。
利益は出ますが、馬を探す経費、情報提供にかかるコストなどを考えると、かなり厳しい状況です。
年間1頭ずつ、仕入れ価格の50%上乗せ=募集 90%応募
事業として成り立つギリギリのラインかなと思います。
仕入れ価格に50%上乗せし、90%の応募があった場合です。
実際、帯広在住であれば経費も節約できると思いますが、本州在住の場合は、厳しいかもしれません。
地方共有クラブが仕入れ価格に50%ぐらいを上乗せするのは当然だということが、ここからわかります。
初年度1頭、以降2頭ずつ 仕入れ価格の30%上乗せ=募集価格 90%応募
募集価格を30%上乗せにし、頭数を増やすとどうなるのかをシミュレーションしてみます。
初年度に1頭、その後2頭ずつ増えていき、5年後に9頭になる場合です。
個人でできる限界の頭数と思いますし、9頭すべてに90%応募があるというのは難しく、理想値となります。
実際は、ここから経費を引いて、税金を払うわけですから、手元に残るのは微々たるものです。
ばんえい競馬で地方共有クラブは成り立たない
ばんえい競馬の賞金体系で、地方共有クラブが存在しない理由は、シミュレーション結果を見れば明らか、とは思います。
同様の理由で、佐賀や名古屋といったところの専門クラブも成り立たないと思います。
頭数を増やすことでしか利益を拡大することができず、成長率も殆どないようなものですので、事業としては限界が見えています。
クラブ経営だけで生活することは難しく、賞金の高い競馬場(南関競馬)にクラブが偏るのも仕方がないことですね。
賞金という不安定な収入が大きい部分を占める、地方共有クラブを経営することは非常に難しいことがわかります。
地方共有クラブ経営者の皆様、誠にありがとうございます!
それでもばんえい競馬で、地方共有クラブを成り立たせるには
成り立つ条件としては、牧場自らがばんえい競馬のために生産し、馬市場に流すよりも高く売るための方法としてクラブを設立することかと思います。
馬市場の相場が200万~250万ぐらいであれば、300~400万ぐらいで募集するという形です。
仕入れは自牧場の馬になるので、利益率が大幅に上がります。
募集0でも、馬市場で相場通り売れるというセーフティネットがあります。
もし、自分の牧場でクラブ経営をされる場合は、一声おかけください。
計画立案や広報・営業など、喜んでさせていただきます(笑)
管理人
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地方馬主が増えている中、まったくばんえい競馬が話題にならないことが悔しくて、サイトを運営開始。
2022年、ジェイジャックのオーナーとなりました。
ばんえい競馬を愛する人が一人でも増えるように地道に活動中。
ばんえい競馬はいいぞ。ばんえい競馬はいいぞ。ばんえい競馬はいいぞ。
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