【ばんえい競馬】　競走馬保険と弔慰金

自分の馬にもしものことがあったときのために、サラブレッドには競走馬保険があります。

人間の傷害・生命保険と同じように、特定の怪我（屈腱炎）や競争能力の喪失状態になった場合、保険金額に応じて、お金が支払われます。

同じように、怪我などで競争能力を喪失した場合、ばんえい競馬（ばん馬）では、どのような保証があるかをまとめました。

ばんえい競馬の競走馬保険と弔慰金について

最初に、競走馬保険について簡単に説明します。

競走馬保険とは

競走馬保険は、人間の場合と同じように、損保会社が保険商品として売り出しています。

傷害・生命保険と同じ仕組みで、年間の掛け金を支払い、万が一の場合、保険金額が支払われます。

ただし、サラブレッドをお持ちの馬主様でも、競走馬保険に入るかどうかはまちまちかと思います。

万が一のための保険ですから、新馬であれば入るけれども、既競走馬であれば入らない（サラブレッドオークション購入馬）ということもあるでしょう。

保険の仕組みとしては、以下のような形です。

• 年間の掛け金を支払う。掛け金は馬の価値（例えばセリで１０００万円で購入）の○○％のように決まる。
• 特定の怪我、競争能力を喪失した場合、保険に入る時に設定した馬の価値の６０％が支払われる（ただし、馬齢によってパーセンテージは減少する）

保険というのは、加入者が多くないと（掛け金が集まらないと）成り立ちません。

サラブレットの生産頭数は７,５００頭と言われており、１頭あたりの価値が高い（へたすると、家よりも・・・）ため、成り立っている商品になります。

ばん馬に対する保証（弔慰金）について

ばん馬の場合、年間の生産頭数は、１０００頭を切りそう勢いです。

また、ばん馬自体の価値も、１００万〜２００万の間に収まることが多いので、保険としての商品市場は無いに等しい状況です。

そのため、競走馬保険というものはありません。

ばん馬自体が怪我をしにくく丈夫であることから、保険の必要性が少ないということも一因でしょう。

では、万が一に備えた仕組みがないのかというと、そうではありません。

競走馬保険に代わる仕組みとして、「ばんえい競馬馬主協会」の「弔慰金制度」があります。

競走馬が入厩後に適用される制度で、競争能力に影響を与えるような怪我をした場合（療養中）や予後不良となった場合に申請可能です。

競走馬保険がなくても、同様の保証が行われるようになっています。

弔慰金の支払実績ですが、ばん馬の丈夫さがわかる数字になっています。

ばんえい競馬の登録頭数が７５０頭ぐらいですので、年間に弔慰金対象となるような大きな怪我をする割合は、１％～２．５％となります。

年度	頭数
2015	7
2016	9
2017	18
2018	14
2019	10
2020	19

競走馬保険（サラブレット）と 弔慰金 （ばん馬）の比較

ある保険会社の競走馬保険と弔慰金を、費用面・保険金額（支払金額）で比較します。

馬代金は、どちらも２５０万とします。

弔慰金の場合、年間掛金がありませんので、仮に馬主協会の年会費を入れています。

2~3歳時	競走馬保険	弔慰金
年間掛金	8.25万	1.2万
保険金額（※１）	175万	45万～150万

（※１）競走馬の保険金額は、馬齢が上がるごとに少なくなります。（４～５歳で馬代金の６０％など）

ばんえい競馬の弔慰金は、馬齢ではなく、馬のクラスによって支払われる金額が変わります。

Ａクラス	１５０万
Ｂクラス	１１０万
Ｃクラス	６０万
Ｄクラス	４５万

ばんえい競馬の場合、本格化する年齢がサラブレッドよりも遅いため、馬齢によって支払金額が変わらない仕組みになっているのは有り難いですね。

支払われる金額÷掛け金で、保険としての手厚さを比較すると、競走馬保険が約２１倍となり、弔慰金が３７．５倍〜１２５倍となります。

もちろん、サラブレッドの場合、馬の価値は青天井ですので、単純比較はできませんが、馬主協会の弔慰金制度が手厚い制度であることがわかります。

南関東の馬主会でも同様の見舞金制度があります。

大井競馬のトップであるＡ１クラスで、１００万円となり、ばんえい競馬の方が金額が大きいことが驚きです。

ばんえい競馬においては、馬主に寄り添った制度があり、安心して馬が持てそうですね。